| 大久保栄次著 印刷書籍・電子書籍 ヨーロッパ・南アフリカ関連 現地情報 |
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| 世界遺産 ドロミテ山塊 | |
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| ・サブタイトル: 大自然の雄大なる讃歌 ハイキング・トレッキング ・表記: 日本語 ・形式: ペーパーバック ・印刷: 光沢なし最上質紙 高鮮明度プレミアムインキ ・サイズ: B5版 61ページ 厚さ0.4cm ・販売: Amazonネットワーク/Amazon.co.jp |
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| 内容概要: ドロミテ山塊The Dolomitesは、特徴的な地形と地質学的に稀な地域です。標高2,999mのトレ・チーメ・ディ・ラヴァレード峰など、険しく尖ったドロマイト苦灰石の山容と深く切り込んだ渓谷、それに対比する穏やかに波打つ広大な草原、ヨーロッパトウヒなど針葉樹の森、秋に黄金色に色付く広葉樹林、宝石のようなエメラルドグリーンに染まる湖など、美しい自然の成り立ちと景観をして、2009年、UNESCOは北イタリア・ドロミテ山塊を「世界遺産(自然遺産)」に登録した。 本書は「ドロミテ山塊の黄金盆地」と呼ばれるコルチナ・ダンペッツォ周辺の美しいミズリーナ湖やハイカーに人気のチンクエ・トーリ峰、標高3,244mのトファーナ峰など、あるいは標高2,400mセチューダ高原と3,000m級のノコ刃状のガイスラー連山、さらに雄大な展望が楽しめるポルドイ峠やガルデーナ峠の景観などを詳細に解説しています。 本書はハイキングやトレッキングの参考ガイドブック、そして観光ツーリストも利用価値のある現地情報として活用できます。 |
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| サンプル・ページ:(抜粋) ---------- III コルチナ・ダンペッツォ周辺のトレッキング・エリア ![]() コルチナ・ダンペッツォ周辺の山岳スポット 作図:大久保栄次 III-2 ヒュッテ・アウロンツォ~トレ・チーメ峰へ向かう ヒュッテ・アウロンツォから憧れのトレ・チーメ・ディ・ラヴァレード峰へ向かう! 通常、最も安全で最も人気のあるコース、トレ・チーメ連山の南側を半周するトラバース的な南周回ハイキング・ルート101を歩くことになる。 トイレを済ませ、心と携行品の準備を整えてヒュッテ・アウロンツォ前に立つと、整備された平坦なハイキング・ルート101を東方へ向かう大勢のハイカーが見える。世界遺産となった現在、夏のハイシーズンなら、このルートは晴れた日曜日の午後の「東京・銀座通り」と同じ混雑となる。 大勢の健康的なハイカーに混じり、憧れの地へ向かう高揚感を抑えつつ歩き始めて30分~40分ほど、前方に歴史あるヒュッテ・ラヴァレードRifugio Lavaredo 2,350mが見えて来る。南周回ルート101ではヒュッテ・アウロンツォからここまで距離にして約2km、標高差はわずか「+50m」のほぼ平坦なルートである。 世界的に有名になった雄大にして荒涼たる山岳ルート、2km歩いて標高差がたった50m、標高2,000mを超えている山岳地帯であるにも関わらず、予想外の「楽々ハイキング」に戸惑う感じさえ覚える。山岳救助のヘリコプター発着基地でもあるヒュッテ・ラヴァレード付近から、ちょっとだけ登り勾配となるが、立ち樹がなく整備された見晴らしの効く斜面ルートを800m、20分だけ頑張って登れば、スニーカー・ツーリストも、70歳の高齢者もベビーカーを押す若いお母さんでも、広い鞍部のラヴァレード峠Passo di Lavaredo 2,450mへ到着できる。 ![]() トレ・チーメ連山周辺・トレッキング・ルート 作図:大久保栄次 南周回ルート101はヒュッテ・ラヴァレードから右方へ回り込み左周りで峠へ向かう「標準ルート」のほか、ヒュッテ前から岩峰の脇の急な崩壊砂礫を直線的に昇る近道の「101枝ルート」もある。両方のルート共に整備されているが、標高差は100mほど、800mほどの距離を穏やかに昇る「標準ルート」を選択する人が多い。 南周回ルート101では、バス終点のヒュッテ・アウロンツォ~ヒュッテ・ラヴァレード~ラヴァレード峠まで約2.5km、山岳写真の撮影に夢中になるとか、高山植物の群生に見惚れて「キレ~イ、カワイ~イ、すご~い!」を連発して、学校帰りの小学生のように長時間の道草をしなければ、通常、おおむね45分~1時間の歩行である。 この良く整備された南周回ハイキング・ルート101の途中では、不思議なことにトレ・チーメ峰のピークをはっきりと認識できない。左側に迫る今にも崩れるような絶壁の岩肌と崩壊砂礫、右手には雄大な斜面と深い渓谷美が広がっている。そうして、ラヴァレード峠2,450mに立って、初めて三つに分離したトレ・チーメ峰のピークを斜め北面から眺めることができる。 夏7月、鞍部のラヴァレード峠から眺めるトレ・チーメ峰の圧倒される絶景、これこそが「夢に見た名峰」の姿である。世界遺産・ドロミテ山塊の中で、ラヴァレード峠から眺めるトレ・チーメ峰こそが、最も体力を消耗しない「楽々ハイキング」で到達できる最も人気のある「絶景スポット」と言えるであろう。 地球の激しい造山活動と自然がつくった芸術的とも言える造形の美しさと威容さをむき出している、トレ・チーメ峰の「トレ tre」はイタリア語で数字の「3」、「チーメ cime」は「頂点(複数)」を意味する言葉通り、山体が見事に大きく三つに割れている。 中央が最高峰2,999mの「グランデ」、一枚岩のように見えるその垂直面はヨーロッパ玄武岩のような硬度のある岩石ではなく、ボロボロと崩れやすいドロマイト苦灰石質の500mの絶壁である。上写真の峠付近に微細な点々として見えるのが訪れたハイカーの人達、これと比較する時、トレ・チーメ連山の途轍もないスケール感が理解できる。 ![]() ラヴァレード峠2,450mとトレ・チーメ峰2,999m ハイク・ルートを歩むハイカー達が微細な点々に見える 写真は広角レンズで撮影していることから、ピークが「それほど高くない」と感じるかもしれないが、絶壁の高さ500mとは東京都庁舎(約240m)の2倍の高さ、東京スカイツリーで言えば地上458mの「第二展望台」よりさらに40mほど高い。この「グランデ」の絶壁は、日本の平均的なマンションや住宅の階高3mから計算した場合、優に「160階建て」に相当する高さである。 ラヴァレード峠からトレ・チーメ峰を見上げる場合、目の前に3棟の「150階~160階建て」の巨大な建物が突っ立っていることに等しく、頚部が痛くなるほど仰け反り、ピークはほとんど真上の視野ということになる。トレ・チーメ峰の全景を見るなら、峠から少し離れて東方の鞍部へ移動する方(上写真)がベターである。 この圧倒される光景を「言葉を失うほどの絶景!」と言わずして、何が「すご~い!」と言うのであろうか? ただ、これは他人が撮影した写真を観るのではなく、理屈はともかく、ラヴァレード峠に立った人だけが実感できるトレ・チーメ峰の壮大にして神宿るほどの畏敬なる姿、三つ割峰が堂々と奏でる大自然の雄大なる讃歌である。これこそが、「死ぬまでに見ておきたい絶景」の一つと言えるだろう。 今にも崩れそうだが崩れないその裸身と言うか、圧倒されるドロマイト苦灰石の無垢の岩肌をさらけ出すトレ・チーメ峰周辺には、岩に隠れるように無数に見られる色とりどりの小さな高山植物以外に、草木が確認できない荒涼にして雄大な山岳風景が広がっている。 ![]() 高山植物 ヒメイトシャジンCampanula Scheuchzeri 高山植物 サクシフラガ・ブリオイデスSaxifraga bryoides III-3 トレ・チーメ峰へのハイク&トレッキング・ル-ト 夏の時期、トレ・チーメ・ディ・ラヴァレード峰へのハイク&トレッキングでは、天候さえ良ければ、路線バスの終点・広いパーキング場のあるヒュッテ・アウロンツォ~鞍部のラヴァレード峠まで、南周回ルート101に限れば、年齢を問わず自分で歩行さえできれば、サンダル履きや通勤革靴は推奨できないが、スニーカーなど簡易的な装備で誰でも訪れることが可能である。 また、ヒュッテ・アウロンツォ~ラヴァレード峠への南周回ルート101は、最後の鞍部へのやや登り500mを除き、整備が行き届いていることからほぼ平坦、トレッキングやハイカーのみならず、マウンテンバイクの元気な若者達、遠足の小学~中学生グループ、結構年配のご婦人のヨーロッパ・ハイカーをたくさん見ることができる。 南周回ルート101では、コースから外れて自分の経験でルートを探す「ルートファインディング」や方向感覚を失う「環形彷徨」などは、濃霧で3m先が見えないほどの極端に天候が悪化しない限り、通常、あまりに見通しが良過ぎる夏には有り得ない。 トレ・チーメ峰への標準の南周回ルート101のほか、例えば帰路に別ルートを選択するなら、ラヴァレード峠~バス終点・ヒュッテ・アウロンツォまで、連山の北側に展開する広大な岩盤平原と崩壊砂礫の斜面を進み、左周回するトレッキング・ルート101~105もある。また、さらに幾分距離があるが、北奥にあるヒュッテ・ロカテーリRifugio Rocatelli 2,450mに立ち寄ることもできる。 広大な岩盤平原を回る北周回ルート101~105は、南周りのルート101より約3倍の距離と若干起伏もあり時間を必要とする。が、特に雨の降らない夏場なら、立ち樹がなく周囲の視界は見渡す限りの絶景、初級トレッキング・ハイカー以上の人には推奨できる。当然、バス終点から直接北周回ルート105~101を使って、トレ・チーメ連山を右手に見ながら右回りでラヴァレード峠へ向かうこともできる。 ![]() ラヴァレード峠2,450mから望むトレ・チーメ・ディ・ラヴァレード峰 ・手前峰=Piccola 2,857m ・中央峰=Grande 2,999m ・遠方峰=Ovest 2,973m 厳密な意味で言えば、その突き上がった威容な山容からトレッキング・ハイカーに人気の高いサッソルンゴ峰Sassolungo 3,179mも、その東方にどっしりと居座るセーラ山系Gruppo del Sella 3,152mも、そして当然ながらコルチナ・ダンペッツォなど市街も世界遺産の登録区域ではない。 そうであっても、世界遺産に含まれない岩峰を含む、美しい針葉樹の森林、湖や雪解けの沼、清流の渓谷、さらには青空に反射する残雪、緑の牧草地や鮮やかな高山植物の群生する高原、そして点在する街と村々の花を飾った家々など、ドロミテ山塊の「全て」が訪れる人々の期待と憧憬を裏切ることはない。とにもかくにも、ドロミテ山塊の全域が「世界遺産」に相応しい美しさと魅力を秘めた山岳地域である、と強調できる。 ![]() シウージ高原から望むサッソルンゴ峰3,179m III-6 ヒュッテ・ラガゾォーイ展望台 GPS ヒュッテ・ラガゾォーイ展望台:46°31'40''N 12°00'32''E/標高2,750m ![]() ファルツァレーゴ峠周辺・トレッキング・ルート 作図:大久保栄次 ファルツァレーゴ峠にはクライマーのためにスタッフ常駐の「アルペン・インフォーメーション」があり、天候やトレイルなどのリアルタイムのトレッキング情報を提供している。 東西分水嶺であるが、ファルツァレーゴ峠は広く平坦、峠の交差点の北側には大型ロープウェーが施設され、10分ほどで絶壁の上にあるヒュッテ・ラガゾォーイ展望台Rifugio Lagazuoi 2,750mへ運び上げてくれる。ヒュッテ展望台の西方は標高2,762mのピッコロ・ラガゾーイ峰である。 ![]() 雄大な光景 ヒュッテ・ラガゾォーイ展望台2,750m~南東方向の山塊を眺める ヒュッテ・ラガゾォーイ展望台では、周囲360度を見渡すことができる。先ず南東方角には2,500m~2,600m級のガリーナ山Gallinaやアヴェラウ峰Averau、その遠方にはペルモ峰Pelmoやチヴェッタ峰Civettaの連山など、ドロミテ山塊を代表する3,000m級の峰々が鋭利な山容を主張している。 東方には標高3,200m級のトファーナ峰とトファーナ・ディ・ロゼース峰の連山が迫り来る。そして北東側にはラガゾォーイ渓谷の広い岩盤平原が広がり(冬はスキー場)、それを立ち塞ぐ高さ500m~600mの絶壁のファーネス連山Fanes 2,989mの威容な山容が続く。 なお、ファーネス連山やクントゥリネス連山などは、「ファーネス・センネス・ブラーイス自然保護公園Parco Naturale de Fanes-Sennes-Brais」に指定されている。 ![]() ヒュッテ・ラガゾォーイ展望台2,750m~ラガゾォーイの岩盤渓谷~ファーネス連山を眺める 冬 渓谷は標高2,500mのアスピリン・スノーのスキー・ゲレンデとなる ラガゾォーイ展望台~南西方向15km先には、ドロミテ山塊の最高峰のマルモラーダ峰Marmolada 3,343mがはっきりと見える。さらにその手前には第一次大戦の激戦地で有名となった山岳陣地、イタリア軍陣地のコル・デ・ラーナ峰Col di Lana 2,452mとオーストリア・ハプスブルグ軍陣地のシエフ山Mt Sief 2,424mが、距離わずか500mの尾根ラインで対峙する。 ![]() ラガゾォーイ展望台~南西方向を眺める 左遠方にドロミテ山塊・最高峰マルモラーダ峰が見える III-7 トファーナ峰 コルチナ・ダンペッツォ周辺で最も標高があるのは、市街の西北西にそびえるトファーナ峰Tofane 3,244mである。コルチナ市街の北側、少し距離があるが、かつて冬季オリンピックに使われたスケート競技場の直ぐ近くから運行されている大型ロープウェーに乗り込む。途中標高2,500m付近の中間駅で乗り換えれば、トファーナ峰のほぼ山頂へ一気に運び上げてくれる。 天候と高山特有の気温低下に注意すれば、スニーカーなどの軽装でも標高差2,000mを30分ほどで、誰でも容易にトファーナ峰の山頂へ登ることができる。この手軽さがドロミテ山塊の魅力であり、完全装備の経験のクライマーだけが登れるスイス・アルプスと違う、ドロミテ山塊の大きなメリットである。 コルチナ市街の西北西に構えるトファーナ峰の頂上は比較的広く、ここから眺める北西側対面のファーネス峰と連山Fanes 2,989mを初め、真夏でも残雪を抱く2,700m~2,900m級の連山のむき出した褶曲地層や垂直の絶壁、引き込まれそうなトラヴェナンゼス渓谷Val Travenanzes の雄大さは例えようもなくたいへんと美しい。 ![]() トファーナ峰頂上3,244mからの展望 手前下方=トラヴェナンゼス渓谷 遠方=ファーネス連山 IV-1 ガルデーナ峠 ガルデーナ峠に立つと、南側には押しつぶされそうに圧倒的に迫り来るブルーネッカー・トゥルム峰Brunecker Trum 2,495mなどセーラ山系の巨大な岩壁、一方、北側を眺めればスキー・ゲレンデの草原が広がっている。その上方には南側のセーラ山系とは異なる山容、ギザギザの刃こぼれしたようなV字に切れ込んだキレットをむき出したシルシュピツェン連山Cirspitzen(最高峰 グラン・シール峰Gran Cier 2,592m)が立ち塞がっている。このノコ刃状の連山も世界遺産の対象である。 そして、ガルデーナ峠から東方コルヴァラへ下る極端なヘアピンカーブの国道243号と周辺に広がるスキー・ゲレンデの草原、一方、峠から西方セルヴァへ下るガルデーナ渓谷Val Gardenaの彼方には、ドロミテ山塊地方を代表する堂々とそそり上がるサッソルンゴ峰Sassolungo 3,179mの東壁面の雄姿が控える。 ![]() 圧倒される美しい光景 ガルデーナ渓谷~サッソルンゴ峰3,179mの東壁面を展望する 左方=セーラ山系の絶壁/草原と針葉樹林帯を蛇行しながら下る国道243号 ![]() 国道243号 ガルデーナ峠2,136m~シルシュピツェン連山2,592m 冬 草原は全面スキー・ゲレンデと化す/連山の崩壊砂礫部までリフトが伸びる V-1 荒々しいセーラ山系&ポルドイ峠 素晴らしい風景を提供しているガルデーナ峠2,136m、その直ぐ南側には今にも崩壊しそうなドロマイト苦灰岩の荒々しい岩肌を見せるセーラ山系の岩崖が迫り来る。 緑の麓から急激にそそり上がる中腹部、非常に険しい形容のセーラ山系は、全体では東西南北6kmのほぼ「円形」、それを半分に割り裂くように北東~南西方向へ渓谷が走り、北西側半分のアッパー部は東西3kmの広大な円形テーブル・マウンテンに近似、一方、南東側半分は険しく複雑な岩峰をさらけ出している。 ![]() ポルドイ峠周辺・トレッキング・ルート 作図:大久保栄次 ![]() 人気のあるポルドイ峠付近 大型ロープウェーが山頂駅2,950mへハイカー&ツーリストを運び上げる 描画:大久保栄次 ---------- |
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