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水場のバーチェル・ゼブラの群れ/ピラネスバーグ国立公園/中央レストハウス東北東3km付近 ※南アフリカ政府観光局主催・写真コンテスト・「特別賞」/2008年11月 |
● ピラネスバーグ国立公園(ピラネスベルグ国立動物保護区) 日本の外務省から危険情報が発令され、世界を旅するツーリストの間では「世界最悪の街」とか、「凶悪犯罪多発都市」とか、マイナスイメージの汚名を付けられた最大都市ヨハネスブルグから北西へ車で135kmほど、動物保護区で南アフリカ国内 第5番目の広い面積を誇るピラネスバーグ国立公園(ピラネスベルグ国立動物保護区 Pilanesberg National Park / National Game Reserve)があり、広大なサバンナ地帯が展開している。 ピラネスバーグ国立公園へはヨハネスブルグや首都プレトリアから高速道路N4号を経由、保護区とその南側のリゾートのサンシティ Sun-City リゾート方面へは、高速道路に匹敵する制限時速120kmの快適な州道路R556・565・510号が延びている。 交通アクセス面から言えば、ヨハネスブルグ〜最短で350km以上の距離がある南アフリカ最大のクルーガー国立公園に比べ、ピラネスバーグ国立公園はヨハネスベルグとプレトリアの首都圏から日帰りで訪れることのできる、「最も近場で最も満足できる最大規模」のゲーム・サファリ・エリアと言えるだろう。 アフリカゾウ/ピラネスバーグ国立公園/バクブング・ブッッシュ・ゲート北方5km 年間60万人が訪れるとされるピラネスバーグ国立公園では、周囲6か所の管理ゲートはほぼ楕円形の円周に沿って走る幹線地方道からアクセスできる。 管理ゲートや囲み柵に近い場所にビジター用のハイグレードの宿泊ロッジがあり、区域の丁度ど真ん中にあたるダム湖に近い平原には日中に食事ができるレストハウスがあり、保護区の管理センターが併設されている。ここでは見晴らしの良いオープンテラスを設け、食事をしながら接近してくるキリンやインパラ、無数の野鳥などを眺めることが可能である。 ただ、レストラン・カフェのディッシュの味は若干サバンナ的、複数回チャレンジした私の正直な経験論を言えば、批判ではないが「イマイチの味」、可能ならばショッピングモールでゲットしたランチ持参の方が正解! サービスも「南アフリカ流」で、日本的な習慣から言えば、かなりのスローテンポが特徴だが、トイレなどのツーリスト設備は充実している。 また、トイレや動物観察施設 Hide などは、広い保護区内の特に動物の出没率が高い平原や湖沼脇などに点在している。ただし、レストラン施設は各ゲート近郊の宿泊ロッジを除き、上記の管理センター&レストハウス以外に存在しない。 厳重管理の6か所のゲートから自家用車で入場した後、野生動物に襲われる可能性を考慮にして、基本的にはウィンドーを閉め切り保護区のサバンナ地帯ではトイレも含め、車外への立ち降りは禁止されている。ドアーを開けて車から降りて双眼鏡などで動物探しをしている姿を保護区のレンジャーに見つかると、複数回の経験論では、かなり厳しいお叱りを受けることになる。 ● ピラネスベルグ国立公園(動物保護区)/規模(広さ) 平面視野では、ピラネスバーグ国立公園はほぼ楕円形で、東西約30km 南北約25km、総面積は570平方km、東京23区部の面積より少し狭いくらいの広大な区域を占めている。 12億年前の火山の噴火活動で最初の地形となり、今は穏やかな稜線を描く平原から100m前後の高さをもつ丘陵にも似た美しい姿の岩山の連なりが、幅30kmの楕円形の巨大なカルデラ地形となって保護区の外周を形作る雄大な風景である。 素晴らしい眺めの日本の九州・阿蘇の外周カルデラは、東西18km 南北25kmと言われているので、ピラネスバーグ国立公園は、面積で見る限り阿蘇カルデラの約2倍の広さがある。 ピラネスバーグ国立公園の平原区域は標高1,100m〜1,400m前後、保護区北部にある岩山が最高峰1,680mとされる。従って、保護区全体が乾燥した高原サバンナである。保護区のほぼ中央付近は太古の昔の噴火口の中心であったのか、盆地のような地形で、そこに満々と水を湛える大きな湖がある。 湖は幾らかの背の低い潅木の茂る岩山となだらかな丘陵が連なる保護区西部から、東方へゆったりと流れるマンクウ川 Mankwe をせき止めたダムによりできた人造湖である。そのほか丘陵からしみ出た幾らかの小川と並んでこのダム湖は、乾燥した保護区に生息する無数の動物達の格好の水場で、植物系への給水の役目も果たしている。当然、野生動物がたくさん集まってくる場所である。 サバンナ草原のインパラの群れ/ピラネスバーグ国立公園 ● 1万頭の野生動物/350種の野鳥 ピラネスバーグ国立公園の平原では、大きなダム湖だけでなく、小川やたまり池がそこかしこにあり、それを頼りにする大きく分類して50種類の哺乳類を含む、1万頭以上の猟獣と草食動物が、また確認された鳥類は350種が生息していると言う。 植物類ではアカシア科の比較的背の高い樹木を初めアロエやサボテンに近い多肉植物、サバンナの風景に欠かせないトゲのある無数のブッシュ潅木類などが不規則に展開し、さらに平原を覆う色々な草や雑草などが生い茂る。 この地域は元々火山地帯であったことから、耐熱テフロン原料となるホタル石を初め、火山性溶岩、ダイヤモンドの母岩のキンバーライト岩、ベージュ色の凝灰岩などの岩石と岩盤で覆われた緩やかな山と丘陵が点在して、地質学的にも稀なエリア、視覚的にも適度の変化と緊張感をかもし出している。 |
● クルーガー国立公園 南アフリカ最大、南北最大360km、日本の四国よりさらに広い面積19,500平方kmを誇るクルーガー国立公園 Kruger National Parkk では、動物の種類も豊富、個体数ではアフリカゾウ11,500頭、キリン5,000頭、ライオン2,000頭、アンテロープ類の代表と言えるインパラに至っては15万頭が生息しているとされ、何から何まで桁外れの数値である。 ピラネスバーグ国立公園(ピラネスベルグ国立動物保護区)の野生動物の生息する平原区域は標高1,100m〜1,400mの高原に位置しているため、年中ほぼ乾燥したサバンナ草原となっている。 一方、クルーガー国立公園では平均標高200m〜800mほどの丘陵と比較的平坦な地形、緯度的にもピラネスバーグ国立公園より北方、しかも湿った気流をもたらすインド洋に面するモザンビーク低地の西側を南北に伸びて占めていることから、乾燥が標準の南アフリカにあって比較的降水量もあり、野生動物の生息に適する草原と森林が濃厚に展開している。 サビ川〜森林帯へ移動するゾウの群れ/クルーガー国立公園・サビ川流域/Skukuza Camp近郊 北方にジンバブエ、東方にモザンビークとの国境線、南アフリカ北東部に位置するクルーガー国立公園では、網の目のように張り巡らされ総延長2,500kmとされる舗装&未舗装のサファリルート、河川と草原と森林の豊かな自然環境など、動物探しの条件が有利と判断できるが、保護区のその広大さゆえに堂々たるゾウやアカシア系の高い枝葉を好むキリンなど、比較的目立つ大型の動物さえも探すのが結構難しい場合もある。 クルーガー国立公園での野生動物との遭遇では、走行可能な総延長2,500kmという途方もなく伸びている道路のどのルートを選択するかのツーリストの直感的な判断は当然だが、相手が気まぐれな野生動物であり、その日の「運」にも大きく左右される。 |
クルーガー国立公園・南部エリア/スククザ・キャラバン・キャンプ周辺 作図=Web管理者legend ej ------------------------------------------------------------------------ 年間140万人が訪れるとされる広大なクルーガー国立公園には、正式ゲートは9か所あり、公園内と外部(ゲート近郊)に多くの大型ホテルや高級ロッジ、無数のキャンプ・ロッジなどが完備され、施設毎に色々なイベント企画が実施される。 クルーガー国立公園は南北に長いエリア、大都市ヨハネスブルグや行政首都プレトリアから最短位置のゲートでは、公園の南西のネルスプロイト近郊のクルーガー国立公園の空の玄関・「ムプマランガ国際空港 Mpmalanga AP」〜東方45kmの「マレラン・ゲート Malelane Gate」、空港〜北方30kmの「ヌンビ・ゲート Numbi Gate」である。この二つのゲートまでは首都圏から350km以上の距離となる。 草原のアフリカ・ライオン(オス)と水辺のウォーターバックの群れ/クルーガー国立公園・南部 ヨハネスブルグやプレトリアなど首都圏からのクルーガー国立公園のゲーム・サファリでは、交通アクセスの利便性から広大な公園の南部エリアを目的地とするツーリストが非常に多い。その大半のツーリストが目指すのが、クルーガー国立公園の首都である「スククザ・キャラバン・キャンプ Skukuza Caravan Camp 標高280m」である。 車を使って、あるいはヨハネスブルグやケープタウンからの直行便でムプマランガ国際空港に降り立ったなら、州道路R538号〜R40号をヘイジーヴュー Hazyview まで北上した後、右折して東方へ向かうR536号を走り、サビ川 Sabi River 河畔に設けられた「ファベーニ・ゲート Phabeni Gate 標高420m」〜S1号を走行するルート。 あるいはR536号をさらに東方へ向かい、サビ・サンド動物保護区域を抜け、サビ川を渡った場所の「ポール・クルーガー・ゲート Paul Kruger Gate 標高300m」〜スククザ・キャンプを目指すのが代表的なアクセスコースとなる。 クルーガー・ゲートには、19世紀、南アフリカの北部に存在した旧トランスヴァール共和国・大統領であり、クルーガー国立公園の名称となっているポール・クルーガーの巨大石像が記念碑的に立っている。 ファベーニ・ゲートとクルーガー・ゲートの南方、要するにサビ川の右岸域(南岸)は、地質学額的には花崗岩質、植物帯では草原とトゲ(刺)のある潅木などの混在であり、一方、サビ・サンド保護区が広がるサビ川の左岸域(北岸)の植物帯は、「神の木」と呼ばれるマルーラ樹やトゲの潅木や比較的高い樹木が混在的に展開している。 このため、ファベーニ・ゲートから東方35km、クルーガー・ゲートから東方12kmのスククザ・キャンプまでは、水場などは少ないが比較的見通しの効く草原と低木が連続することから、カバやワニなど水中関連の動物は少なく、ビッグファイブのゾウの群れを初め、豊富な草を求めるインパラやクドウなどアンテロープ類、それを狙うライオンやレパード、キリンやサイなどが生息する。 灌木の林に生息するアンテロープ類(インパラ&クドウ)/クルーガー国立公園・南部/サビ川流域 ------------------------------------------------------------------------ クルーガー国立公園の中心地スククザ・キャンプには公園の管理本部が置かれている。スククザは19世紀初頭、クルーガー国立公園の前身である「サビ自然保護区」の最初の護衛士であり、クルーガー国立公園の設立に尽力したジェームス・S・ハミルトンの時代から、サビ河畔の拠点となっていた。 現在のスククザ・キャンプは南アフリカ最大級のゲーム・キャンプとして知られ、サビ河畔に約2kmの範囲でキャンプ&リゾートエリアが開発されている。エリアには小型のバンガロータイプ〜大規模ゲストロッジまで建設され、そのほか博物館や図書館、小学校や警察・郵便局・銀行・病院、さらにゴルフ場やクリケット場、テニスコートやプール、映画館や教会、レストランやショップ、そして、250室を誇る最新の「5☆ゲストハウス」まである。 公園西端のファベーニ・ゲートとクルーガー・ゲートの東方〜南方エリア、サビ河畔のスククザ・キャンプを中心とした、下流45kmの「ローワー・サビ・レストキャンプ Lower Sabi Rest Camp 標高180m」までのサビ川流域が、クルーガー国立公園の中で最も野生動物の生息個体数が多く、遭遇のチャンスも最大顕著と言われている。 舗装道路を車で走行、このサビ河畔エリアの走破だけでも、ゾウやライオンやサイなどビッグファイブを初め、キリンやバッファロー、何処でも見られるアンテロープ種やゼブラ(シマウマ)、大人しいレパード(ひょう)やサバンナ・モンキー、果ては「嫌われ者」のハイエナやワイルド・ドッグ、ホロホロ鳥など無数の鳥類など、クルーガー国立公園で生息するほとんど全ての野生動物が、何らかの姿と数で観ることができる、と言われている。このエリアでは、朝、レストキャンプの敷地内をライオンが歩いているシーンも決して珍しい光景ではない。 荒地で警戒するキリンの群れ/クルーガー国立公園・南部/サビ川流域 また、決して多い水量ではないが、水の流れが枯れることがないサビ川とサンド川流域では、サビ・サンド保護区やスククザ・キャンプ周辺の地質は花崗岩質だが、下流のローワー・サビ・レストキャンプ周辺では硬い玄武岩やシェール岩質となる。 このため河床の土砂堆積が薄く、むしろ露岩が顕著となり、水深の浅い川に中に岩盤と草の島が複雑に構成され、多くの水溜りも点在することで、カバやワニなどの水辺関連の動物が無数に生息できる条件が整っているエリアでもある。 群れで移動する若いバッファロー/クルーガー国立公園・南部 サビ川下流域の川辺で休むアフリカ・ワニ/クルーガー国立公園・南部 ----------------------------------------------------------------------- クルーガー国立公園の南部エリアで特に有名な私営保護区とロッジを挙げれば、公園外部・西側のサビ川周辺で最高の料理と行き届いたサービスが自慢、南アフリカ有数の高級ロッジを複数所有、570平方kmのピラネスベルグ国立公園より広い、650平方kmの広大な面積を誇る私営のサビ・サンド動物保護区 Sabi Sands Game-Rが、国内・海外からのゲームサファリ・ツーリストを迎えている。 現在、クルーガー国立公園の西に隣接するサビ・サンド動物保護区には専用の空港もあるが、19世紀末には国立の「サビ鳥獣保護区」と名称され、その後、20世紀になり保護区が拡大され、「クルーガー国立公園」と改名される起源となった歴史あるゲームサファリ・エリアである。 さらにサビ・サンド動物保護区の西方には、私営のMount Sheba 自然保護区を初め、Makobulaan 自然保護区やマカラリ動物保護区 Makalali Game-R 、石灰岩の大規模な侵食渓谷・ブライデリバー自然保護区 Blyde River NR など、動物保護区&自然保護区が複数点在して、それぞれが大型の宿泊ロッジを備え、特徴ある野生動物の保護やサファリ、自然環境管理を行っている。 クルーガー国立公園は途方もなく広大な面積、隈なくゲーム・サファリを行うには数か月間の長期滞在が必要とされ、日本からも含め時間に余裕のないグループ・ツアーでは国立公園内ではなく、上質な宿泊ロッジを兼ねる公園外の私営の動物保護区でのサファリをスケジュールに組み込んでいる。 例えば、幾らかの旅行会社がスケジュールしているマカラリ動物保護区は、侵食渓谷・ブライデリバー自然保護区の北側、私営とは言え保護区の面積は26,000ヘクタール(260平方km)に及び、最高級ロッジを備え、ビッグファイヴは当然、生息する野生動物の個体数も多い。 あるいはブライデリバー保護区〜北東30km、州道路R40号とクルーガー国立公園との間、面積130平方kmを占有する私営のカパマ・リバー・ロッジ Kapama River Lodge では、ビッグファイヴは当然、42種類の野生動物、350種の鳥類を探すゲーム・サファリができる。ブッシュウォーク・サファリを初め、専用車のサファリ・ドライブ、さらにオプションとなるが熱気球サファリも企画されている。 |
● マウンテン・ゼブラ国立公園 インド洋に面する人気の街ポート・エリザベスの北方200km、下述のアドゥ・エレファント国立公園よりさらに内陸には南アフリカ南部一帯に生息しているケープ・マウンテン・ゼブラ(シマウマ)の保護を最大の目的としたマウンテン・ゼブラ国立公園がある。 この付近は標高1,800m前後の高原台地で、日本の淡路島の半分ほどの面積280平方kmの広い保護区内にはマウンテン・ゼブラのほかに、バッファローや黒サイ、草食のスプリングボックやレッドハーテビーストなども生息している。 ● アドゥ・エレファント国立公園 最も有名なゾウの保護区では、南部の東ケープ州ポート・エリザベスの北方へ55kmのアドゥ・エレファント国立公園である。 1931年にはたった11頭のアフリカゾウでスタートした人工造営の保護区は、現在、日本の香川県より一回り狭い1,640平方kmの区域に拡大され、アフリカゾウ450頭をメインに、ケープバッファローや黒サイなどの野生動物が生息、確実にゾウの群れに遭遇できる保護区としても知られている。 ● サンシティ・リゾート ピラネスバーグ国立公園(ピラネスベルグ国立動物保護区)の南側には、標高1,200mの緩やかな谷間に造営された「サバンナの驚異」とも言える巨大なアミューズメント・リゾート・「サンシティ Sun-City」がある。ここに宿泊して北側に隣接するピラネスバーグ国立公園でゲーム・サファリを行うツーリストも多い。 年間100万人の観光客、東西3.5km 南北2kmの世界最大級の広大な施設は「ロストシティ」と呼ばれ、世界有数の4軒の超高級ホテルを中心に、24時間営業の大規模なカジノを初め、大型造波プール、テニスコート、ゴルフコース、乗馬コース、映画・ゲーム、豪華なレストラン街など、子供〜大人までが楽しめるあらゆる娯楽の施設が整っている。 |
● クレイドル自然保護区 南アフリカの「人類発祥の地」の世界遺産区域にあるクレイドル自然保護区でも、ゲーム・サファリができる。10頭を越える白サイ、20頭を数えるキリン、無数のゼブラやインパラなどアンテロープ類などの野生動物が生息している。なお、クレイドル保護区には、164万年前の動物化石が発掘され世界遺産に登録のモーツェツ洞窟がある(下地図・番号10)。 世界遺産/南アフリカ・「人類発祥の地」・スタークフォンテン洞窟と周辺洞窟 南アフリカ・「人類発祥の地」の主な洞窟と関連施設/スタークフォンテン洞窟(@ 基点) 赤点線エリア47,000ヘクタール=世界遺産の指定区域(東西30km 南北30km) 作図=Web管理者legend ej ------------------------------------------------------------------------ ● リノ&ライオン自然保護区/巨大なワンダー洞窟 世界遺産・「人類発祥の地」のスタークフォンテン洞窟から北北東7km、ヨハネスブルグの住民に良く知られたリノ&ライオン自然保護区 Rhino & Lion NR がある。保護区の南西端の地下で発見されたワンダー洞窟 Wonder Cave は、内部空間としては国内第3番の広さを誇る大規模な鍾乳洞である(上地図・番号8)。 人骨化石の発掘はないが、ワンダー洞窟はその大規模な構造から「人類発祥の地」の世界遺産の対象となっている。ワンダー洞窟は19世紀にセメント原料の石灰岩の採掘作業で発見された。 鍾乳洞自体はおおよそ220万年前に形成されたとされ、 内部は無数の鍾乳石が林立する単独の巨大な空間で、 例えて言えば、セイヨウナシ(洋ナシ)を横にしたような形 容で、左作図に示す通り、その空間は最大高さ60m、長 さ125m、幅64mである。 地上から洞窟内部へ通じる唯一の狭い開口裂け目に設 けられた急な階段を20mほど下ると、エレベーター乗り場と なる。 専門ガイドと共に定員10名以下の若干古風な金網囲い の低速エレベーターに乗り込み、地底の突き出た岩盤まで 30mほど降りると、そこは見事な鍾乳石と地下大空間の 別世界となる。 ワンダー洞窟内部/断面概略図 作図=Web管理者legend ej 世界遺産/「人類発祥の地」・スタークフォンテン洞窟と周辺 ワンダー洞窟/「祈る聖母マリア」の鍾乳石/カーテン状鍾乳石 また、約1,600ヘクタール(16平方km)の広大なサバンナ草原のリノ&ライオン自然保護区では、ライオンとサイをメインに、チータ、クードゥー、ワイルドドッグや無数の小型アンテロープ類などと遭遇のゲーム・サファリが可能である。またコッテージ・キャンプ、サバンナ・ピクニック、4WD車を使ったオフロード・トレイルや乗馬トレイルなどもできる。 リノ&ライオン自然保護区/サイの家族 リノ&ライオン自然保護区はヨハネスブルグから40km/行政首都プレトリアから60kmの距離、スタークフォンテン洞窟などと同様に比較的治安も良く、アクセス道路R540号の交通量は極めて少ない。動物の個体数は多いとは言えないが、区内の風景は雄大、丁度良い郊外ドライブコースでもある。ただアクセスには車が必要となる。 ------------------------------------------------------------------------ ● クルーガーズドープ保護区 ヨハネスブルグの北西30km、標高1,600mのクルーガーズドープ動物保護区は、主にライオンの管理に力を入れている公園である。 管理面積は15平方kmと小規模であるが、見通しの利く穏やかな草原とブッシュ潅木が茂る低い渓谷や丘陵で構成された保護区内ではアフリカライオンの群れを初め、シマウマ、キリン、ダチョウ、インパラ、水牛などと遭遇できる(上地図)。 そのほか、渓谷の水場とくぼ地を大規模にネットで保護した囲いの中に放された色鮮やかな鳥類も見ることができる。鳥類のネット囲いは垂れ下がり傾向で若干観光に対する緊張感が劣るが、若い管理レンジャースタッフの明るい表情もあり、パーキングに車を止めて訪れる価値はある。 アフリカライオン(メス)/クルーガーズドープ動物保護区/コテージ西南西1km付近 クルーガーズドープ動物保護区では、特にライオンに遭遇する確率が高くなるように、「ライオン専用エリア」を設け、特定時間(午前中)にインパラなどをエサとして与えることもある。この保護区はゲーム・サファリの「入門編」として訪れる価値は十分にある。単独運転も含め過去に2回訪れた経験論では、低速走行で3時間ほどあれば保護区のオフロードコースをほぼ全周できる。 保護区内にコッテージタイプの宿泊設備もあり、あるいは草原の中で頑丈な柵に囲まれた指定場所ではキャンピングも可能である。ただ2007年にはこの保護区でライオンに襲われた管理者が死亡する事故も発生しているので、ライオンの群れの動きには十分注意する必要がある。 クルーガーズドープ保護区のゲート付近には人家はないが、保護区へのアクセスには車が必要となる。 また、クルーガーズドープ動物保護区〜北方10kmには世界遺産・「人類発祥の地」のスタークフォンテン洞窟がある(下写真)。 260万年前・猿人アウストラロピテクス・アフリカヌス頭蓋骨化石・「Mrs. Ples」 プレトリア・ ディソング国立自然史博物館 世界遺産/南アフリカ・「人類発祥の地」・スタークフォンテン洞窟 ----------------------------------------------------------------------- ● ヨハネスブルグ郊外/ライオン・パーク公園 (私営企業) 面積は2平方km、動物保護区では極めて小規模であるが、ヨハネスブルグ中心地から北北西へ約25km、クルーガーズドープ動物保護区から首都プレトリアへ向かう高速道路N14号と州道路R512号の交点近くには、南アフリカ・ライオン・パーク公園(上作図/ランセリア空港の南方5km)がある。 ここでは「パーク(公園)」の名称の通り、80頭のライオンをメインに、チータ、ハイエナなどの猛獣、草食動物ではキリンやインパラなどを、一方通行のゲームロードを車で低速走行しながら見ることができる。またこのパークでは、ビジターやツーリストによる赤ちゃんライオンの「抱きしめ」やキリンの「エサやり」などを通じて、気楽に動物と親しむイベントも行われている。 故に区分ではこのライオン・パークの動物達は、純粋な「野生」ではなく、餌付け管理された「準野生」と言え、パーク全体も「大自然」からはほど遠く、首都圏の郊外にある「気楽に遊べる自然」と言える。ただ、食事やカフェができる管理センターやキャンピング・テント形式の宿泊施設も完備されていること、ヨハネスブルグ郊外という利点から、ライオン・パークへは家族連れのビジターや学校の生徒達も沢山訪れる。 参考だが、2008年の夏、ヨハネスブルグの人達に「最も安全な動物公園」と信じられていたこのライオン・パークで、ピストル携行の強盗団が管理センターを襲うという凶悪な事件が発生した。大勢の家族連れや若者達で混み合っていたセンターでは、金品を強奪された上に、不幸にして来場していた一人の若者が射殺されてしまった。現在、パーク・ゲートで厳しいチェック管理が行われているので、訪れるツーリスト数は元へ回復している。 |
● 世界遺産/イシマンガリソ湿地公園 大都市ヨハネスブルグから東南東へ約500km、港街ダーバンの北方へ約275km、モザンビークとの国境線の南方に隣接するインド洋沿岸地域には、大小合計13の自然保護区や国有林などから成るイシマンガリソ湿地公園 iSimangaliso Wetland Park がある。 イソマンガリソ湿地公園はウミガメの泳ぐ温暖なインド洋に面する南北280kmの保護エリア、海岸砂丘と亜熱帯森林地区、パピルスなどが生育する湿地帯、あるいはサバンナ的な風景など多様な自然環境で構成されている。 中でもツーリストに人気の手頃なエコツアーは、ボートを使った湿地帯でのゲーム・サファリであろう。ペリカンやフラミンゴなど500種以上の鳥類を初め、湿地と水場に生息する800頭を数えるカバ、そしてゾウの群れや1,000頭以上のワニなどとの遭遇は圧巻と言える。 なお、イシマンガリソ湿地公園の旧名は「グレーター・セントルシア湿地公園」で、「イシマンガリソ」とは現地ズールー語で「脅威」を意味している。 イシマンガリソ湿地公園/カバの群れ |